SHISEIDO WINDOW GALLERY<土>の章 2018

期間 : 2018年6月14日〜8月21日
場所 : SHISEIDO THE STORE

CREDITS
Art Direction : ミヤケマイ
Artist : 植松永次

撮影 : 繁田諭

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作品解説(SHISEIDO THE TABLES)

子どもの遊び心を表現した「土」のディスプレイ
6月半ばから立秋の頃までウィンドウディスプレイを飾った「土」の章は、陶芸家・植松永次さんが作品の制作と展示構成を担当しました。展示期間がちょうど夏休みと重なることから、ミヤケさんはテーマについて「子どもの遊び心を感じさせる作品を」と植松さんに依頼したそうです。
土を焼いた立体作品を長年手がけてきた植松さん。人間が誰しも持っている水、空気、火や土といった自然そのものの美しさや力強さを感じる心。そんな感性に訴える作品を心がけています。“遊び心”というお題に、幼い頃に土だんごをつくったり、穴を掘ったりした思い出を重ねました。中央通りのふたつのウィンドウには白い壁を立てて、丸・三角・四角に整えた土に、淡いブルー、ピンク、白の色化粧を施して焼成した作品を配置しました。できるだけ単純な形と色にしたかった、という植松さん。ユーモアを感じる展示構成からは、「空と遊ぶ」「空に舞う」というタイトル通り、青空に羽ばたくような自由な心を感じます。さらに子どもと植松さんの3人で手に泥をつけて、手形を押した透明のフィルムを作品の手前に配し、「ピカピカの新車に泥を塗りたくなるような」子どもの衝動を表現しました。

作為を込めずにつくった原土の作品
花椿通りの作品は「泥の花」と「収穫」というタイトルがつけられました。「泥の花」は何とか手に持てるくらいのやわらかさの原土の塊を、平らな面に投げつけてそのまま焼成。花が咲くように広がった形の焼き物を、白い壁面にレイアウトしました。「泥と私の最小行為」と植松さんが表現するように、陶土ではなく泥そのものをなるべく手を加えずにつくっています。「収穫」も同じように大小さまざまな原土の塊をそのまま焼成し、稲藁で結んで白い壁に吊るしただけ。ともに何種類かの土を使うことで色に変化が生まれています。作為をなるべく込めず、火によって形を得た土の存在感が際立っていました。
「表現以前に土があった」という作品に込めた植松さんのメッセージは、街を行く子どもだけでなく大人の心にも、「木・火・土・金・水」という五行の自然そのものを感じることの大切さを、改めて届けてくれたに違いありません。