SHISEIDO WINDOW GALLERY<花>の章 2018

期間 : 2018年3月15日〜4月17日
場所 : SHISEIDO THE STORE

CREDITS
Art Direction : ミヤケマイ
Artist : オーロール・チブー

撮影 : 繁田諭

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作品解説(SHISEIDO THE TABLES)

春色のグラデーションが見せる女性の生命の輝き
生まれたての「木」の章に続き、3月には春を謳歌する「花」の章の作品がウィンドウを飾りました。ミヤケさんは心浮き立つ桜の季節にふさわしい作家として、フランスのオーロール・チブーさんに作品制作を依頼しました。ファッションをテーマに、衣装、彫刻などさまざまなメディアを通して、世界各地の展覧会やプロジェクトに参加してきた現代美術作家の女性です。京都のヴィラ・九条山で展示された友禅や型染めの技法を取り入れた作品をはじめ、伝統工芸家と協働してきた彼女の姿勢は、ミヤケさんと共鳴するところが多いそう。まず中央通りの2つのウィンドウに、花吹雪のように軽やかに宙を舞うよう洋服を配置。赤ちゃんから思春期を経て、成人になるまでの女性となっていく過程を、純白から桜色、そして赤く染めたフランスのアンティークの洋服の色彩のグラデーションで表現しました。オーガンジーやレースなど、繊細で透明感のある素材を京都で染色する作業には、ミヤケさんも立ち会ったそうです。「パリの人にとって春のイメージは黄色やオレンジですが、日本人にとってはなんと言っても桜色。その微妙な色彩の文化的ニュアンスを、京都の工房で共有するように心がけました」。

俳句で浮かび上がる、幻想的な世界
花椿通りに面したふたつのウィンドウには、俳人・小林一茶による桜にちなんだ二句にチブーさんがインスピレーションを受けた作品を展示しました。こちらも京都で染色した布に貫頭衣のように襟ぐりをつくり、棒に掛けて折り重なるように配置しました。緑の布には椿、桜色の布には枝垂れ桜が風に揺らぐ様子が浮かび上がるよう型染めしています。女性の生命の力を感じる中央通りのウィンドウとは対照的に、一茶の俳句を日本語とフランス語の文字でガラスに配置した花椿通りのウィンドウはポエティックで、幻想的で儚い女性の美しさが浮かび上がってくるようです。
銀座を行き交う女性の美しさをまっすぐに伸びるさまざまな樹木が祝福する。「木」と「桜」の章、ふたつの季節を飾った作品からは、ふたりの女性美術家によって自然からのメッセージが込められていたことを強く感じました。