「描き、愛し、食べるー ミヤケマイの魅力」    山口裕美

ミヤケマイ作品の大きな魅力の1つは、力強い実線で描かれる動物や人物の
輪郭、形である。対象となるものの形を可能な限りシンプルにして、決して細くない
線で表現することは簡単に見えて、非常に難しい。なおかつ、彼女独特の個性が表現
されている。そのかたちに迷いがなく、潔い。配色にも構図にも彼女らしさが見え
る。訓練では出来ないたぐいの表現であり、まさに天性の感覚がある。つまり才能で
ある。
 例えば、彼女が好んで描く動物の場合、単純にかわいいだけではなく、動物が本能
的に持っている生きるためのサバイバル感覚、そのためのダークサイド、邪悪な駆け
引き、ちょっとイジワルな目線などが盛り込まれている。私は昨今の中身のからっぽ
な「わかいい」ブームが苦手で、ミヤケマイの描く、金魚を狙う猫や計算高いネズミ
などを愛する。描かれた動物達に主張があるからだ。
 彼女の作品を見ていると、作品の中に出てくる風景や動物や小道具へのこだわりが
並大抵のものではないことに気づかされる。和風テイストが盛り込まれた花の作品の
粋で意気な表現。動物作品で見せる、生き物への深い愛情。擬人化され人間よりも
もっと人間らしい動物達。作品の中から会話が聞えてきそうだ。日頃身近に見ている
看板やレストランの内装から立ちのぼる食へのこだわり。どれをとっても、いやは
や、なかなか。動物の中でも猫に対して見せる特別な愛情は愛猫家から必ず支持され
るに違いない。
 ところで、作品を見る前にアーティストと知り合ってしまうと困ることがある。と
いうのは、アーティストが素敵な人柄であればあるほど、知り合ってから作品を見
て、その作品がどうしても自分の評価の機軸と違った場合、友達ではいられなくなる
からだ。評論家の多くは「作品が魅力的ならアーティスト個人も魅力的だ」と発言を
するが、その逆「性格が良いアーティストの作品が魅力的とは限らない」というのは
公然の秘密である。
 ミヤケマイとは作品を知らずに知遇を得た。その後、個展の案内をいただき、その
作品を見た。正直、ホッとした。人柄や気風の良さは言うまでもない。

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山口裕美(アートプロデューサー) 

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