どこかで出逢ったような、でも新しい、ミヤケマイの世界
佐野太郎

ミヤケマイの絵の中の世界は、なぜか昭和のニオイが漂っている。
時間の止まった日本のどこかの漁村、どこかの原っぱで遊ぶネコ。あるいは昔華やか
なバーの片隅、ジャズが聞こえてきそうな男と女の微妙なカンケイ。ミヤケマイはそ
ういった瞬間を切り取って魅せるのがとてもウマい。それにしても昭和のニオイがす
るのはなぜか。
聞けば彼女、子供の頃は親の仕事の関係でオーストラリアの片田舎で育ったという。
また、日本にいた幼少期は着物のお姉さんたちでごった返す稽古の場に遊び、海の向
こうでは意志の疎通のために絵を描いて言葉の不自由をフォローしていたという。
何となく、海の向こうに渡った彼女が空想の世界の中に、離れてしまった日本の風景
を、しかもその地に馴染んでいく子供の、海外からの目を通して築き上げていったの
ではないか、という気がしてならない。だから彼女の絵の世界は、どこか懐かしい日
本の風景であったり、中国のようであったり、懐かしくもあり、新しくもある。恐ら
くこれはきっと、子供の時の彼女のアタマの中にあった空想の映像なのだと思う。だ
から彼女とわりと年の近いボクには昭和のニオイがふうっと香ってくるのだ。
そんな、緻密な構成ながらどこかのほほんとした親しみやすさ、やさしいタッチなの
に凛とした佇まいは、見る者の多くを惹きつけてしまう魅力にあふれている。また、
見る者によって変幻自在に姿を変える不思議さも彼女の作品の魅力のひとつだ。日本
人が、あるいはどこかの国の人がアタマに中に抱いている何かしらのイメージに、不
思議とピッタリくっついてしまうのだ。
でも絵の中の世界で遊ぼうと思うのならご用心。どこかに必ずチラッとイタズラが隠
されているからだ。
やっぱり、彼女が作り出す魅力あふれる情景はミヤケマイそのものに違いない、とボ
クは確信してる。
広告制作プロダクション経営 佐野太朗

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