絵画でも彫刻でもなんでもいいんだけど、美術の作品てのは、基本的に“私は〜思う”
が一番目、というか唯一で、たまに息が詰まる。ま、これには観る側が自分たちがわ
ざと“凡人”に落ちることで、美術家に“個性”を求めてしまうってことにも原因が
あるんだけど。
そこで、思うのは、もう少し美術家はサービスをしてもいいのではないか、というこ
と。伝えたいことがあるなら、ただ大声をだしてりゃいいってもんじゃない。特に、
伝える相手が今までまったく知らない相手ならなおさらのこと。
三宅さんの作品をずうっと前から追っかけてたわけではないけど、彼女の作品にはそ
のサービスが丁度よく入ってると思う。
猫をモチーフにする自体がサービスといえばサービス。三宅さんが、目に入る野良猫
を片っ端から拾って育てるほどの愛猫家とは聞いてないので、生まれ持っての愛情か
ら猫をモチーフにしてるのではないことは確か。でも、猫を描く。なぜなら、人間が
昔から付き合ってきた猫をとりあげることで、彼女が自分自身の表現をより伝えやす
くするために。
でも、当然、いわゆる“かわいい猫”を描いていない。三宅さんの作品に漂うこざっ
ぱりした、ある種冷めた感覚は消えていない。どの猫も媚びてないし。自分が遊びた
いことは、しっかり遊んでるし。三宅さんの作品がけっこう売れちゃったりするのも、
こういった感覚がいいのかな。
自分の気持と、相手を考えたサービスのせめぎ合い。これをやりくりできる貴重な絵
描きさんです、三宅さんは。
Web『てんぴょう』編集長 松浦良介 http://tenpyo.net